Interview
先輩インタビュー

泉 雄紀

多様な疾患に向き合うために歩んだ
総合診療医の道

大分大学医学部附属病院 医師4年目(2024年11月現在)
泉 雄紀

現在のお仕事の内容を教えてください。

2024年10月から大分大学医学部附属病院で働いています。現在、医師4年目で、今までアルメイダ病院や大分こども病院で勤務してきました。

大学病院での仕事は、朝のカンファレンスから始まり、病棟の回診、病棟業務(検査・処方のオーダーや検査の結果確認)と、外来診察、空いている時間で病棟業務を行います。昼食後は事務的な作業や、実習生の指導・教育に関する業務をすることが多いですね。

ここでは医学部の実習生の教育も大切な仕事のひとつです。
担当医として、学生の実習に付き添ったり、カンファレンスでのプレゼンにフィードバックを行ったりします。せっかくの実習ですから、より具体的に総合診療医の仕事がイメージできるように補佐することを心がけています。

総合診療・総合内科に入局したキッカケは何ですか?

実は、なかなか1つの科に決めることができなかったんです。 好奇心が旺盛で、どの科もやりがいのある仕事だと思いました。最後は救急科と総合診療・総合内科で迷っていました。 根底にあるのは、いろいろな疾患を診て幅広い知識を身に付けたいという想いです。どちらも、多種多様な患者さんを受け入れるという点で共通していると思っていたんです。

当科を選ぶ決め手になったのは、地域に特化しているという特徴があったからです。研修医時代の経験から、地域医療に携わりたいという気持ちが少しずつ芽生えてきたように思います。

また同期と将来を語る中で、どんな医師として働いていきたいかが少しずつ想像できるようになり、自分の気持ちが固まってきたところもあります。

「何でもできる」というおもしろさ

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総合診療医とはどんな仕事ですか?

臓器専門医のように病気を深く診ることは難しいですが、総合診療医は広い視野で何でもできるエキスパートだと思います。医師が少ない地域に行けば、文字通り何でもやらなくてはいけない。だから、日頃から未知の事柄にトライするチャレンジ精神を持つことが大切ですね。私も以前から興味のあった嚥下内視鏡の講習に参加させていただきました。
当科では個人のやりたいことを尊重してくれますし、さまざまなジャンルを経験してエキスパートを育てる環境が整っています。

総合診療・総合内科の魅力は何だと思いますか?

1人の患者さんとじっくり向き合えるところですね。患者さんが抱える症状だけでなく、心の状態や家族関係、時には会社や地域での立場なども含めて、時間をかけて聞き取りします。

臓器専門医は時間をかけられる環境にない医師もたくさんいますから、こうやって腰を据えて患者さんの話を聞ける環境が整っているのは当科ならではの特色です。徹底的に原因究明するプロセスがおもしろく、やりがいを感じます。

話を聞いてあげるだけで気持ちが楽になる患者さんもいますし、話の中に解決の糸口があって診断につながることもあります。患者さんを病気そのものとは別の視点から診ることができるのが、総合診療医の魅力です。

終わりのない学びを楽しむ

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辛かったこと、嬉しかったこと、
心に残っているエピソードなどを教えてください。

貧血の原因精査を他科から依頼され、診断を付けた経験が印象に残っています。その患者さんは、定期的に受診している科でひどい貧血が見つかったのですが、ご本人には特に自覚症状がありませんでした。
総合診療科で多角的に診ていくと、胃潰瘍が原因で貧血になっていたことが分かったんです。そこで、胃潰瘍の治療をしてからピロリ菌の除菌をしました。本人もまさか胃潰瘍を発症していたとは思わず、非常に驚くと同時にとても感謝されました。

大学病院では専門家が揃っているので、治療は専門診療科にお任せすることが多いのですが、原因不明の体調不良で困っていた患者さんに診断が付くと治療が開始でき、患者さんの不安を取り除けます。ここはやはり、総合診療医としてうれしいところですね。

仕事と家庭は両立しやすい環境ですか?

大学病院の定時は17時15分で、ほぼ残業はないので、仕事も家庭も大切にできる環境ですね。家ではご飯を作ったり洗濯をしたり、妻と協力して家事をこなしていますよ。

職場のほうが集中できる環境なので、定時後に残って自分の勉強をすることもあります。自分の意思で自由に選択しているという感覚が、仕事へのモチベーションの維持につながります。

これから総合診療医を目指す方に向けて
メッセージをお願いします。

総合診療医は、患者さんだけでなく、ご家族や地域までフィールドを広げて多角的に診る必要があります。疾患の診断や治療にとどまらないので、学ぶことが次から次へと出てきます。総合診療医はそういう環境をおもしろがれる人、学びたい気持ちが強い人に向いていると思います。

将来の選択肢が幅広く開けていることも、総合診療医の魅力です。外来、入院、救急、在宅医療など、さまざまな診療の場に携わりながら、その時に自分がやりたいジャンルに進むことができるのです。
私は、ゆくゆくは訪問診療に携わりたいので、若いうちは急性期の患者さんと関わることが多い環境で経験を積んで、将来に活かしたいと考えています。

幅広く診ることができる総合診療医は、いつでもどこでも活躍できます。
「地域」や「人」に関心がある人、いろいろなジャンルに興味があって絞り切れない人は、ぜひ総合診療医という選択肢を検討してみてください。

総診医への道

  • 小学生3年

    道端で電柱に頭をぶつけたおじいさんに遭遇。
    処置する看護師の母親を見て「お母さんってすごい!」と感動し、母が働く医療業界に興味を持つ。




  • 高校2年

    医学部への進学を決意。

  • 大学4〜5年生

    実習で医師としての使命を意識しはじめる。


  • 研修医2年目

    周囲の影響もあり、地域医療に興味を持つ。
    研修で回った総合診療・総合内科に入局することを決める。

総合診療医を目指す君へ

総合診療医を目指す君へ

訪問診療や地域医療に携わりたい方にとって、総合診療医は非常に魅力的な選択肢です。
外来、入院、救急、在宅医療といった様々な診療の場で経験を積み、自分がやりたい分野に進む自由があります。

「学びたい」という意欲が強く、地域や人に関心がある方は、ぜひ総合診療医という道を検討してみてください。