Interview
先輩インタビュー

後藤 亮

「まるごと診る」
医師を目指して

医師5年目 アルメイダ病院(2024年11月現在)
後藤 亮

現在のお仕事の内容を教えてください。

現在、アルメイダ病院で総合診療科の医師として働いています。現在は専攻医として今年3月までは救急科の研修を行い、4月からは総合診療科で研修を行っております。

アルメイダ病院には呼吸器科がないので、総合診療科では高齢者の誤嚥性肺炎や通常の肺炎などの呼吸器疾患に加えて、コロナなどの感染症を診ることが多いです。また、原因不明な熱を精査するのも、総合診療科の重要な役割となっています。

週1回程度は当直を行い、夜間のオンコールに対応することもありますが、休みは比較的取りやすく、オン・オフを切り替えてプライベートも充実しています。

総合診療・総合内科に入局したキッカケは何ですか?

私が医師を目指したキッカケのひとつに、祖父が癌を患ったことがあります。一時は余命数ヶ月と宣告されたのですが、適切な診断・手術でほぼ完治に至り、今も元気に過ごしています。これは、かかりつけ医の先生が初期症状をしっかり拾い上げて、その後の治療に結び付けてくれたおかげです。今思えば、プライマリ・ケアを実践する総合診療科の重要性を象徴するような出来事でした。

総合診療・総合内科を選んだのは、さまざまな分野に興味があり、どの科も魅力的に感じたからです。広範囲の疾患を診断して治療に介入できる総合診療科は、非常にやりがいを感じました。入局後にさらにやりたいことが見つかったときに、方向転換できるという自由度の高さにも背中を押されました。

それから、最終的には「人」ですね。
学生時代から総合診療・総合内科の先生方にはとてもお世話になっていました。他科に比べて人数が少ないこともあり、一人一人に寄り添った指導をしてくださることが決め手になりました。当科では、それぞれの希望に沿ったキャリア形成が望めます。

最新の医療ではなく、最良の医療を

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総合診療医とはどんな仕事ですか?

総合診療科の医師は、幅広い年齢層の患者さんを診察し、さまざまな診療科の知識を持っています。従事する分野も研究・教育・臨床など多岐にわたります。

さらに、病気の治療だけでなく、家族関係、経済状況などを多角的に診て、その人の人生に深く関わっていく点が、他科と異なる最大の特徴だと思います。その人を「まるごと診る」って、かっこいいですよね。

色んな検査をしても、病名が付かない患者さんもいらっしゃいます。でも実は「病名がつかないこと」はそれほど重要ではありません。大事なのは、最終的に患者さんが満足できるような状態で治療を行っていくこと。
症状を軽くして生活の質を上げてあげることが大切です。最新の医療ではなく、長期的なアプローチで最良の医療、最善の選択を提供することにやりがいを感じています。

総合診療・総合内科の魅力は何だと思いますか?

総合診療医を私なりに一言で表すなら、「みんな違ってみんないい」です。
臓器専門医は1つの領域を突き詰めるので、目指す内容・方向が同じになりがちです。それに比べて総合診療医は常に広い視野で医療界を俯瞰し、自分がやりたいことを見つけられます。いつでも思い立ったときに、自らの手で未来を切り拓いていける自由度の高さがあると感じます。

活躍の場が幅広く、目の前に新しい世界が無限に広がっていること。そして、興味を持ったことにチャレンジできる環境にあることが、総合診療科の魅力だと思います。

終わりのない学びを楽しむ

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辛かったこと、嬉しかったこと、
心に残っているエピソードなどを教えてください。

アルコール性の認知症が進んだ50代の患者さんの症例がとても印象に残っています。救急搬送されて入院し、栄養管理などの治療は順調に進んで転院ということになりました。しかし、以前の経験から転院に対して不信感を持たれており、患者さんは自宅での生活を望まれていました。

認知症の進行度やご家族の介護の負担を考えると、転院がベストな選択です。そこで、時間をかけて患者さんやご家族と向き合い、最終的には、皆さん納得のもとで転院する運びになりました。

患者さんとご家族の人生を受け止めて、よりよい方向に導いていく。臓器別アプローチでは経験できないこのような出来事が私自身の人間力を高め、人生の糧になっている気がします。

これから総合診療医を目指す方に向けて
メッセージをお願いします。

オールラウンダーの総合診療医は、ネガティブな意味で「浅く広く」と言われることもあるかもしれません。しかし医師不足や高齢化社会が深刻化している中で、総合診療医はまさに時代のニーズにマッチした仕事だと言えます。
病気を治すだけでなく、地域の健康を守り、人生を見守る総合診療医を目指すことに自信と誇りを持ってほしいと思います。

臓器専門医に比べて将来的に不利なのでは、と不安を抱える必要もありません。臓器専門医はその科がある病院でしか働けませんが、総合的に何でも診る総合診療医は、どの地域、どの病院からも求められる存在です。

総合診療医のまま真っすぐ進む道もありますが、そこからのキャリアも幅広く開けているという点もぜひ知ってもらいたいですね。

総診医への道

  • 小学生

    理科や実験が好きな小学生。
    将来は理系科目への進学や就職をなんとなく考えていた。




  • 中学2年生

    祖父が癌を患う。手術により全快したことに感動し、医師という職業に憧れを抱く。

  • 高校2年生

    大分大学で開催された高校生向けのセミナーに参加。
    とても楽しかったことが印象に残る。


  • 大学4年生

    地域枠出身のため地域医療学センターとも関わりがあり、センター主催の地域医療セミナーについて学会発表などの活動を通じて総合診療科内でのつながりが深くなる。

総合診療医を目指す君へ

総合診療医を目指す君へ

総合診療医は、医師不足や高齢化が進む時代に必要不可欠な存在。病気を治すだけでなく、地域の健康と人々の人生を支える役割を担い、どの地域、どの病院からも求められる存在です。
総合診療医は幅広いキャリアの可能性があり、興味を持ったことにチャレンジできます。臓器専門医と比べて将来に不安を抱く必要は全くありません!ぜひ自信と誇りを持って、総合診療医を目指してください。